千代田区立図書館蔵「桑名藩松平家所蔵品目録」を復元する①
千代田区立図書館には古書販売目録のコレクションがあり、その中に、標記、桑名藩の、所謂、売立目録(1947年)が所在しています。
同年、華族制度が廃止されますから、生活のために、所蔵する古典籍類を売却したことが推測されますが、果たして、31点もの資料が掲載されていました(酸性紙・ガリ版刷・両面1枚)。
冒頭1つ目に掲げられていたのが「原本 輿車図考 零本 箱入三軸 家宝 守国公(楽翁公)御筆 外題世子公定和御筆ト有リ」です。松平定信(守国公)自筆で、外題を孫の松平定和が標した、家宝扱いの軸物が売りに出されたことがわかります(当時のお金で2万5,000円)。
こちらは間島*の説明に従うならば、現在は国立国会図書館が所蔵する
・輿車図考 零本(WA31-10)
に該当する思われます。
*間島由美子「稀本あれこれ(三九五) 『輿車図考』零本松平定信自筆」
( 『国立国会図書館月報』四七六号、二〇〇〇年) 。
2つ目に掲げられていたのが「古河古松軒著並書 御六戦記並図(徳川家康六大戦) 箱入 二軸」。
おそらくこちらも、国立国会図書館が所蔵する
・御六戦記 WA21-20
と思われます。
その他、天保11年、統仁親王(孝明天皇)の立坊祝いに幕府の使者として上洛した松平定和が、統仁親王から拝領した古今和歌集(箱入 上巻・柳原隆光 下巻・野宮定祥 外題:閑院宮愛仁親王)、松平家旧蔵の外国関係資料43冊(異国船関係の雑記や交渉記録、万国公法の和訳、オランダ別段風説書等)、集古十種の一部、医学書(「経験方彙」**)、新約聖書、福沢諭吉『西洋事情』などが含まれており、追々、現在の所蔵先についても調べていきたいと思います。